8月15日、東京・有明アリーナで行われた「買取大吉カップ2026」の日韓戦。日本が88-68で快勝しましたが(試合の詳細はこちら)、韓国ベンチから出てきた19歳の名前を、日本のファンはもう一度確認しておいたほうがいいかもしれません。 エディ・ダニエル選手。この日は7得点4リバウンド3アシスト3スティールでした。数字だけ見れば目立ちません。ただ、日本のバスケファンがこの選手の名前を覚えたのは今日ではなく、7月です。
7月6日、日本を81-79で沈めた9得点5スティール
2027年FIBAワールドカップ・アジア1次予選B組の最終第6戦。韓国は日本に81-79で勝ち、3勝3敗で組2位通過を決めました。敗退の危機から抜け出した試合です。 この試合でダニエル選手が記録したのは出場17分2秒で9得点1リバウンド5スティール。スティールはチーム最多でした。韓国メディアが「この日の活躍の白眉」と書いたのが、3クォーターのインターセプトからの単独速攻ダンクです。 ※白眉(はくび)とは、数ある優れた人や物の中で、最も優れているものを意味する故事成語 17分でチーム最多のスティールを奪う、というのがこの選手の輪郭をよく表しています。得点で試合を動かすタイプではなく、相手のパスに手を出して、そのまま自分で決めきる。そしてリバウンドにも積極的に絡む泥臭いハッスルプレー。日本にとっては一番いやな形で失点する相手です。
その4か月前、同じ日本相手に泣いていた
7月の勝利には前段があります。3月1日、沖縄での日韓戦。韓国は72-78で敗れました。 韓国の報道によれば、この試合でダニエル選手は健闘したものの、最後にイ・ヒョンジュン選手から出たパスを得点に結びつけられませんでした。試合後、彼は涙を流しています。 7月に日本を破ったあと、本人はこう振り返りました。
あのときはとても悔しかった。これでヒョンジュン兄さんに顔向けできる (原文: 그때 많이 속상했다. 이제 현중이 형에게 체면이 선다)
日本を相手にダンクを決められてしびれた。ダンクはいつだっていい (原文: 일본을 상대로 덩크슛을 넣어 짜릿했다. 덩크슛은 언제든 좋다)
なお、日本戦では2試合連続でダンクを決めています。3月に泣いた相手に、4か月後にダンクで返した形です。

KBL初の「地元指名」でプロへ——ドラフトを経ていない19歳
経歴も少し変わっています。ダニエル選手は2007年4月3日生まれの19歳、191cmでソウルSK所属。KBLの新人ドラフトを経ずにプロ契約を結んだ、KBL初の「地元指名(연고지명)」選手です。父親はイギリス人、母親は韓国人です。 SKが彼を指名したのは2019年、まだ小学6年生のときでした。同じ年、SKナイツのU-12チームを韓国の育成大会で優勝に導いています。龍山高校を経て、大学に進まずそのままプロへ。本人はその選択をこう説明しています。
大学に行ったとしても、最終的に到達すべき目標はプロチームだと思った (原文: 대학을 가더라도, 최종적으로 도달해야 할 목표는 프로팀이라고 생각했다)
そしてデビューした2025-26シーズンで、いきなりKBLのシックスマン賞を受賞しました(2026年4月9日、LG電子プロバスケットボール表彰式)。代表初選出は2026年2月、マジュルスHC体制で組まれた最初の12人です。
あだ名は“桜木花道”、本人は“流川楓”を目指している
日本の読者に一番刺さるのはここかもしれません。韓国で彼についているあだ名は「강백호(カン・ベクホ)」——『スラムダンク』の桜木花道です。バスケを始めたのが小学6年と遅く、それでいて身体能力が抜けている、という重なり方が理由でしょう。 ただ本人は、そのあだ名にこう返しています。韓国メディアによれば、「桜木花道は初心者だが才能のある選手として描かれている。桜木花道というあだ名もいいが、作品の中で最高のエースである流川楓(서태웅)になれるよう、もっと努力する」と語ったとのことです。 守備についての言葉も、7月の5スティールと重なります。
相手選手をうまく止められたと感じたときに自信が上がる。守備に自信がつくと、攻撃も自信を持ってできるので、より守備に集中するようになる (原文: 상대 선수를 잘 막았다고 느낄 때 자신감이 올라가요. 그렇게 수비에 자신이 생기면, 공격도 자신있게 할 수 있어서 수비에 더 집중하게 됩니다)
8月15日韓国代表と国際強化試合(日韓戦)の試合では
日韓戦の第1戦、韓国は68-88で敗れました。開始2分で八村塁選手に8点を許すなど立ち上がりに11点を連取され、2クォーターにも13点を連続で失って突き放されています。韓国側の得点はイ・ウソク選手の14得点(3ポイント3本)、ユ・ギサン選手の11得点が最多でした。 韓国メディアは、日本に10点差以上で敗れたのは1979年以来47年ぶり、20点差は日本戦での最多点差の敗戦だと報じています。イ・ヒョンジュン選手を欠いた編成での一戦でした(来日メンバー12人はこちら)。 第2戦は8月16日、同じ有明アリーナです。7月に日本を沈めた19歳が、今度はどう出てくるか。ボールの出どころに手が伸びてきたら、それがこの選手です。 出典: 점프볼(8月15日の試合レポート) / 오마이스타(7月6日の日本戦) / 머니투데이(本人インタビュー) / SKテレコム ニュースルーム(本人インタビュー) / 스타뉴스(シックスマン賞) / 스포츠경향(代表初選出)
補足
「地元指名(연고지명)」とは: KBLがドラフトとは別に設けている制度で、クラブが自分の地域の育成年代の選手を早い段階で指名し、ドラフトを経ずに契約できる仕組みです。ダニエル選手はこの制度で入団した第1号として報じられました。日本でいえば、Bリーグのユース所属選手がドラフトを通らずにトップチームと契約するのに近い位置づけです。 「長身選手発掘事業」出身: KBLが背の高い子どもを早期に見つけて育てる事業で、ダニエル選手はここから出てきた選手として紹介されています。小学6年からバスケを始めて19歳で代表、というスピードにはこの背景があります。
よくある疑問
韓国人なのにエディ・ダニエル?(Daniel Edi)
イギリス人の父親と韓国人の母親を持つハーフの選手です。韓国人とは違う名前表記だったので注目した人は多いですね。韓国名はソン・ハラン (성하랑)、国籍は韓国です。
明日16日の第2戦も出る?
日韓戦は8月15日・16日の2連戦で、いずれも有明アリーナで行われます。第1戦に出場しているので第2戦も出場が見込まれますが、起用は当日のベンチ判断です。
なぜドラフトを経ずにプロ入りできた?
KBLの「地元指名」という制度によるものです。ソウルSKが2019年、小学6年生だったダニエル選手を地元選手として指名し、龍山高校卒業後にそのまま契約しました。KBL初のケースとして報じられています。
Bリーグでプレーする可能性は?
現時点でそうした発表はありません。2025-26シーズンにKBLでデビューしたばかりで、ソウルSKに所属しています。
管理人より
3月の日本戦で最後のパスを決められずに泣いた選手が、7月にはスティール5本と単独ダンクで勝っている。同じ相手に4か月でこれをやる19歳がいる、というほうが今日の20点差より自分には重い情報でした。あだ名が桜木花道で、本人は流川楓になれるようにと返している。この返し方をする選手はだいたい伸びます。明日の第2戦、ボールの出どころを見ていようと思います。日本にもこういう選手が増えてほしいですね。筆頭はハーパージュニア、馬場雄大の日本のDF代表。B3だと川島蓮、松尾河秋ですね!いずれも最強の怪盗たちです。 あなたはどう見ますか? コメント欄であなたの声を聞かせてください。









