【Bリーグの未来】バスケで日本は元気になるか|Jリーグ・NPBとの比較と徳島から考えるB.革新

B.革新と徳島 バスケで街は変わるか

バスケは日本のスポーツ産業を支える存在になれるのか?

ボクはなれると思っている。しかし、

その成長を地方の暮らしにつなげるには観客と売上の増加に加えて地域に何が残るかを見なければいけない。

先日ボクが参加しているバスケサークルに県外から単身赴任で来た人が加わった。知らない土地で人とのつながりを求めるときにバスケが入口になった。一緒にプレーできる場所があることを素敵だと思った。

以前は外国から日本に来た人も参加していた。言葉が十分に通じなくても、バスケの共通ルールがあれば一緒にプレーできる。大きな国際交流イベントではなく身近なコートでそれが起きていた。

ボクの周囲ではガンバロウズの観戦に行く人も増えている。サークルの仲間にもその変化を感じる。ただ、この実感だけで徳島全体の人気やアリーナへの賛成を語ることはできない。だからこそプロ興行の数字と地域の課題を並べて考えたい。

データの年度について:Bリーグの観客数は2025-26シーズン、クラブ決算と女性比率は確認できた最新の2024-25シーズンの公表値を使用しています。2026年9月20日時点で2025-26のクラブ全体の決算は確認できていないため、売上651億円・営業利益8億円は2024-25の実績として紹介します。

Bリーグの成長は本物。ただしJリーグも野球も大きい

まずは観客数の規模を確認する。下の表は各リーグの終了済みシーズンを使い、カップ戦やプレーオフを除いたリーグ戦の延べ入場者数でそろえた。Bリーグは2025-26シーズンのB1・B2が対象でB3を含めていない。

比較対象延べ入場者数対象期間・範囲
Bリーグ5,252,988人2025-26 B1・B2レギュラーシーズン
Jリーグ12,879,658人2025年 J1・J2・J3リーグ戦
NPB27,040,286人2025年 セ・パ公式戦

出典:Bリーグの2026年7月14日発表Jリーグの2025年シーズンレビューNPBの2025年入場者数。BはB1とB2、JはJ1〜J3の公表値を合算。期間・クラブ数・試合数は異なる。同じ人の複数回来場も数えるためファン人口ではない。

この範囲ではBリーグの動員規模はJリーグの約41%でNPBの約19%。まだ差は大きい。

一方で、満員の数万人規模の球場を毎週いくつも必要とせずに興行を成立させられることは地方のバスケの可能性でもある。

Bリーグのポストシーズンとオールスターを含む総入場者数は、2024-25の約485万人から2025-26には約548万人へ増えた。伸び率は約13%になる。

Jリーグも2025年の公式試合全体で約1,350万人を集めて過去最多を更新している。バスケの成長を語るために他競技の停滞を前提にする必要はない。

母数の小さい競技は高い成長率を出しやすい。新アリーナの開業やクラブ数の変化も数字に影響するので直近の伸び率をそのまま10年先まで延ばす予測はしない。ボ

クが注目するのは初観戦の人が翌年も来てくれるかという部分だ。

産業としての強みは屋内で観戦できることと、比較的コンパクトなコートの近くでプレーを見せられることだと考える。観戦に慣れていない人にも選手の速さや接触の強さが届けば次の来場につなげやすい。加えてバスケ以外の催事にも転換できる会場なら年間の利用機会を広げられる。

ただし、屋内施設には空調や設備の費用がかかる。

催事の転換にも人手と時間が必要だ。こうした費用を上回る需要をつくれる地域では成長の武器になる。

しかし、需要を読み違えた地域では負担になる。同じアリーナという名前でも事業の成否は分かれる。

2024-25決算|売上651億円の勢いと営業利益8億円の現実

B1・B2の38クラブを合わせた2024-25の営業収入は約651億円。前年度の約552億円から17.9%増えた。同じ資料で入場料収入は33.0%増となっており、スポンサーだけに成長を頼っているわけではない。

比較の基準になるJリーグ60クラブの2024年度売上は約1,725億円で前年比14%増だった。単純に総額を比べるとB1・B2は約38%の規模にあたる。クラブ数や収入構成は違うが、Bの成長余地とJの厚みの両方が見える。

出典:Bリーグ2024-25クラブ決算資料(6〜9ページ)Jリーグ2025年7月の会見・2024年度決算。ここではリーグ運営法人を足さずクラブ合計を比較した。NPBは同じ定義の12球団合計売上を確認できなかったため売上ランキングには入れていない。

Jリーグは2025年度の先行開示でも53クラブが約1,757億円を計上している。ただし決算期の変更や未開示クラブがあるので、上の60クラブの数字と直接つないだ成長率にはしない。比較の年度と対象が違えば見える景色も変わる。

出典:Jリーグ2026年度第5回理事会後会見。2025年度は先行開示の対象に注意が必要。

売上の勢いだけで安心できない理由もある。

B1・B2の営業費用は約643億円で前年比19.5%増。売上より速く費用が増えた結果、営業利益は約14億円から約8億円へ減った。売上に対する営業利益の割合は約1.2%にとどまる。

チームを強くして興行を磨く投資には意味がある。それでも、増収と経営の余裕は同じではない。

新施設の効果で売上が大きくなっても人件費や会場運営費が先に膨らめば手元に残るお金は少ない。

クラブの営業利益とアリーナ運営会社の利益、自治体の収支も別物だ。

クラブが伸びたという数字だけで建設費や維持費まで回収できるとは言えない。この区別はアリーナ構想を考えるうえで外せない。

島田慎二氏のB.革新は何を変えようとしているのか

B.革新の大きな変更は、単年の競技成績による昇降格から経営基盤を重視する仕組みへ移ることだ。B.PREMIER初年度の参入審査では売上12億円と平均入場者数4,000人に加え、5,000人以上を収容するなどのアリーナ基準が柱になった。

出典:島田氏の公式インタビューB.革新の審査基準・結果。上記は初年度参入の主要基準であり、その後の審査年度や経過措置まで一律ではない。

ボクはここに二つの狙いがあると読んでいる。

  1. 降格による収入の急変を抑え、クラブや投資する企業が長い計画を立てやすくすること。
  2. チケットや飲食を含む観戦体験を高めて日々の売上を育てること。

見る環境が良くなれば、プレーの迫力に加えて家族や友人との時間にもお金を払う理由が生まれる。年間契約の席や企業向けの利用も含めて収入源を広げられるだろう。

ただし座席を増やしただけで高い価格が受け入れられるわけではない。

4,000人集めてもチケットだけでは12億円にならない

仕組みをつかむために仮の計算をしてみる。ホームゲームを年間30試合として、毎試合4,000人が平均3,000円のチケットを買った場合の売上は3.6億円。12億円に届くには残り8.4億円をほかの収入で埋める必要がある。

同じ条件で平均来場者が1,000人増えると年間9,000万円の上積みになる。

地方クラブには大きな金額だが、この増収だけで大規模なアリーナの建設費を負担するのは難しい。

これは収益構造を考えるための仮定計算。実際のチケット単価や有料入場者数を示すものではない。無料招待・値引き・税・販売手数料などは計算に含めていない。

だからスポンサー営業やグッズ販売を伸ばす力が必要になる。さらにアリーナには、試合がない日の催事を確保する仕事がある。建物を整えることと年間を通じて使い続けてもらうことを一緒に計画しなければならない。

観戦者の増加をクラブの利益・地元消費・地域の居場所へつなぐために必要な仕組み
観戦者が増えた先に何を育てるか。三つの経路をつなぐためのボクの考察。

女性ファンの多さをどう成長につなげるか

Bリーグの公式データでは、2024-25レギュラーシーズンの会員入場者の52.4%が女性だった。男女のどちらかに大きく偏らず観客を呼べている点は強みと考えられる。

出典:データで見るB.LEAGUE。2025年9月1日時点の公表値。会員入場者の属性であり全国のバスケファン全体を調べた比率ではない。

ただし女性が多い理由を選手の人気だけで説明するのは乱暴だ。試合そのものを深く楽しむ人もいるし、家族と出かける人もいる。この数字だけでは観戦動機まで分からない。

ボクなら初めて一人で来る人にも分かりやすい会場案内と、トイレや帰りの交通を含む快適さを重視したい。性別で楽しみ方を決めつけずに観戦の入口を増やす。そうすれば誘われた人が次は誰かを誘う可能性も広がる。

徳島のアリーナは期待と不安をどこまで詰められるか

徳島県の基本計画策定業務では、徳島東工業高校跡地が予定地とされている。

民設民営を含めた整備・運営方法を検討する段階の資料なので県が全費用を負担すると決まった計画としては扱わない。

第3回検討委員会の資料では5,000〜7,000席程度を妥当とする議論が整理されていた。サブアリーナも使った市民スポーツや防災拠点の機能が挙げられている一方、近隣自治体との施設競合を避ける必要も示されている。

出典:徳島県・基本計画策定支援業務第3回検討委員会資料。席数は議論の整理であり確定した完成規模ではない。

費用にも目を向けたい。

第2回の資料では他地域の施設を参考に、建設単価の上昇を反映した試算が並んでいる。5,000席級の参考事例で約120億円、6,000〜7,000席級の参考事例で約285億円と幅がある。

これは徳島の建設費が120億〜285億円に決まったという意味ではない。延べ床面積や機能の違う事例の試算であり、そのまま徳島の見積もりには使えない。ボクがここから受け取るのは席数だけでは費用を決められないという現実だ。

出典:徳島県・第2回アリーナ基本計画検討委員会資料。他都市の実績額に工事費単価の上昇を反映した参考試算。

県民の何割が賛成なのかはまだ言えない

今回確認した県の公表資料では、県民全体の賛否を代表する調査結果を見つけられなかった。ボクの周囲で観戦者が増えていることを県民の賛成率に置き換えることはできない。

実際に県の「県民目安箱」には、一般県民の参加や周辺住宅への影響を問う意見が掲載されている。アスティとくしまの改修で対応すべきだという提案もあった。県はパブリックコメントなどによる意見聴取や防災機能の検討を回答している。

出典:徳島県・アリーナ基本計画検討委員会に関連して(2026年4月15日)。掲載された個別意見であり県民全体の意向や人数を示す資料ではない。

こうした声はバスケの成長を邪魔するものとして片付けたくない。住んでいる場所の交通や税金の使い道を気にするのは当然だ。応援する側からも、何をどこまで負担してどんな暮らしを得られるのかを説明できる必要がある。

地方で条件が違う。豊橋(愛知県)の賛成多数も全員の賛成ではない

合意形成を考える具体例として豊橋がある。

2025年の多目的屋内施設と豊橋公園東側エリアの整備・運営事業をめぐる住民投票は、賛成106,157票に対して反対81,654票だった。投票率は65.67%で賛成多数となった。

出典:広報とよはし2025年9月号・住民投票結果。単独のアリーナ施設だけでなく当該事業の継続について問う投票。

有効な賛否票のうち賛成は約56.5%になる。事業を進める判断が出た一方で、8万人を超える反対票も残った。この数字を徳島へ当てはめることはできないが多数決のあとにも説明が必要だと分かる。

都市の人口や企業の集積に加えて、鉄道で集まれるのか車が中心なのかでも条件は変わる。県外客を迎える宿泊施設や近隣アリーナとの距離も違う。

大都市で成功した収入モデルを徳島に移すときは地元の需要で組み直す必要がある。

ボクが計画で確かめたい五つのこと

  1. 建設後まで含む公費負担。建設費と借入返済に加えて維持修繕や赤字補填を誰が負担するのか。民間が運営しても公的負担がなくなるとは限らない。
  2. 試合以外の稼働を支える根拠。コンサートの想定日数だけでなく主催者の需要確認や設営・撤去日を含めた年間予定があるか。
  3. 地元の店へ人が動く導線。館内消費だけで終わらず試合前後に食事や買い物ができる交通・営業時間になっているか。
  4. 住民と利用者の安全。終演後の渋滞や騒音に加えて災害時の避難計画をどう整えるか。試合のない日も使える防災機能があるか。
  5. 普段から使う人の場所。市民の予約枠や利用料金を守れるか。既存施設の改修案とも比較したうえで新設を選ぶのか。

とくに地域への経済効果は丁寧に見たい。県外から泊まりに来る人の消費と、県民がいつもの外食を観戦日に移した消費は同じではない。

施設内の売上が増えても地域全体で新しい消費がどれほど生まれたかは別に測る必要がある。

来場者数に加えて県外宿泊者数や周辺店舗への立ち寄り率、市民の利用日数も継続して公表してほしい。計画より需要が少なかった場合の収支も出せれば住民は期待と負担を判断しやすくなる。

バスケが日本を元気にする未来はコートの外にもある

ボクが考えるBリーグの成長余地は、観戦を特別な年1回のイベントから日常の外出先にできるところにある。

何度も会場へ足を運ぶ人が増えればクラブと飲食店や交通機関との接点も育てられる。

そのためには高い席を売る工夫と同時に、学生や家族が通える価格帯も必要になる。観戦が好きになった人が実際にプレーしたくなったときに使える体育館やサークルもあってほしい。

ここはプロの売上と地域スポーツを自動的につなげてはいけない部分でもある。

新アリーナができても市民の利用枠が減れば、ボクが体験したようなバスケを通じて交流の場は増えない。クラブの体験会や地域の体育館との連携まで設計して初めて両方を育てられる。

B.革新が成功するかを確かめるなら、ボクは売上だけでなく有料観戦のリピート率と利益を見たい。地域に対しては公費負担を抑えながら日常利用が増えたかを見たい。

「リーグの目標を達成したか」と「住民の暮らしが良くなったか?」を両方問い続けたい。

管理人のコメント|初めての街で人とつながれる

単身赴任で来た人と一緒にプレーできたことが、今回この記事を書きたいと思った理由の一つだ。

知らない土地で一人だった人がバスケを通じて人とつながれる。

その価値は入場料収入の表には出てこない。

言葉が違っても共通のルールで触れ合えた経験もボクには残っている。もちろん、こうしたつながりはバスケだけのものではない。それでもボク自身がバスケで体験したからこそこの力を信じたい。

ガンバロウズを観に行く仲間が増えたことはうれしい。もっと大きな会場で多くの人と応援する未来にも期待している。だからこそ費用や不安を曖昧にして進めてほしくない。

応援する人にも試合を見ない人にも良かったと思ってもらえる形で育ってほしい。

プロの試合が街に出かける理由になり、身近なコートがその街で人とつながる場所になる。その両方を増やせたときにバスケで日本が元気になるという願いは少しずつ現実に近づくと思う。

徳島で観戦するならアスティとくしまのアクセス・駐車場ガイドへ。チームの話は徳島ガンバロウズの応援ページにまとめています。

資料確認日:2026年9月20日。入場者数は終了済みシーズンを使用。決算は比較範囲をそろえられる2024年度を軸にした。徳島の費用・席数・事業手法は検討資料と確定事項を区別して記載している。

B.革新と徳島 バスケで街は変わるか

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
0 0 投票
評価する
メールを登録する
注目
0 件のコメント
最も古い
最新 高評価